2026.04.14

オーバーツーリズムを逆手に取る|地方自治体の「分散型観光」3つの成功パターン

京都のバス混雑、鎌倉の歩道渋滞、富士山のゴミ問題。

ニュースで「オーバーツーリズム」という言葉を目にしない日はないほど、特定の観光地への過度な集中が社会問題になっています。

でも、この問題を違う角度から見ると、地方自治体にとっては大きなチャンスが見えてきます。「有名観光地に行きたくない」旅行者が増えているということは、まだ知られていない地域に人が流れる可能性があるということ。つまり、オーバーツーリズムは「分散型観光」への追い風なのです。

本記事では、国内の成功事例をもとに、地方自治体が取り入れられる分散型観光の3つのパターンをご紹介します。

パターン1:デジタル技術で「混雑の見える化」と誘導

オーバーツーリズム対策でもっとも成果を上げているのが、デジタル技術を活用した混雑状況の可視化です。

埼玉県川越市では、人流測定事業として観光客の流れをリアルタイムで把握するシステムを導入しています。観光客が集中しやすいスポットにデジタルサイネージを設置し、リアルタイムの混雑状況を表示することで、他の観光地への誘導を図っています。

北海道美瑛町でも、観光地にカメラを設置してAIによる画像解析で混雑状況を可視化し、ウェブサイトやデジタルサイネージで公開するシステムを導入。観光客が事前に混雑を確認できるようにしました。

これらの事例から地方自治体が学べるのは、「混雑しているから来ないで」ではなく、「今はこっちが空いていて楽しめますよ」という誘導型のアプローチです。大規模なシステム投資がなくても、SNSやウェブサイトでリアルタイムの混雑情報を発信するだけでも効果があります。

パターン2:通年型コンテンツで「時間の分散」を実現

オーバーツーリズムは「場所の集中」だけでなく「時期の集中」でも発生します。特定のシーズンだけに観光客が殺到する地域は、四季を通じた観光コンテンツの開発で分散化を図れます。

北海道富良野市が好例です。夏のラベンダーシーズンに集中していた観光客を、冬のスキーやアイスビレッジなど四季を通じたコンテンツ開発で年間を通じて分散させることに成功しています。

白川郷では、ライトアップイベントへの完全予約制を導入し、特定の時期への過度な集中を制御。予約制にすることで駐車場待ちの渋滞を大幅に短縮しました。

地方自治体が取り入れるなら、まずは「うちの地域は◯月以外にも魅力がある」という発信から始めましょう。既存の祭りやイベントだけでなく、地域の日常的な風景や食文化も、切り口を変えれば十分な観光コンテンツになります。

パターン3:「アンダーツーリズム」で穴場を武器にする

最近注目されているのが「アンダーツーリズム」という考え方です。有名観光地ではなく、まだ知られていない穴場スポットやローカルな場所を旅する新しい観光スタイルで、特にリピーターの訪日客に人気が高まっています。

JALと星野リゾートは、訪日客の少ない地方への誘致を目的に連携を開始。比較的知名度の低い「穴場」観光地をSNSで継続的に紹介し、航空券と宿泊をセットにしたパッケージプランを展開しています。

高知県いの町では、SNSで話題になった「にこ淵」の周辺に、地域住民が運営する屋台型ポップアップカフェを複数設置。観光案内所としての機能も持たせることで、一カ所への集中を防ぎつつ地域全体で観光客を受け入れる仕組みを作りました。

ポイントは、「有名じゃないこと」をむしろ強みにすることです。混雑していない、地元の人と交流できる、本当の日本が体験できる。これらはリピーターの訪日客が求めているものそのものです。

地方自治体が明日から始められる3つのアクション

大規模な予算がなくても始められることはたくさんあります。

まず、自地域のSNSで「混雑していない魅力」を発信すること。「今日の◯◯は貸し切り状態です」「地元の人しか知らない朝の風景」といった投稿は、オーバーツーリズムに疲れた旅行者の心に刺さります。

次に、近隣自治体との広域連携を検討すること。一つの自治体だけでは弱い観光コンテンツも、複数地域を結ぶルート提案にすれば魅力的な旅程になります。

最後に、観光庁の「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」など、補助金制度の活用を検討しましょう。採択事業には最大8,000万円の補助金が支給されるケースもあり、地域主導の分散化対策を後押ししてくれます。

まとめ

オーバーツーリズムは、見方を変えれば地方にとって最大のチャンスです。有名観光地への集中が問題になっているということは、旅行者は「別の場所」を探しているということ。その受け皿になれる地方が、次の観光勝ち組になります。

デジタル技術による誘導、通年コンテンツの開発、穴場の魅力発信。この3つのパターンのどれか一つでも、今日から始めてみてください。

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