「うちは現金オンリーだけど、常連さんは困ってないし、別にいいかな」
個人経営の飲食店オーナーさんから、こんな声を聞くことがあります。キャッシュレス決済の導入には手数料がかかるし、機械の操作も覚えなければならない。今のお客さんが満足しているなら、わざわざ変える必要はないのでは。
でも実は、キャッシュレス決済への対応は、もはや「あれば便利」ではなく「なければ選ばれない」という最低条件に変わっています。特にインバウンド客を取り込みたい店舗にとっては、対応の有無が入店するかどうかの分かれ目になっているのです。
訪日客の80%以上がキャッシュレス決済を希望
観光庁の調査によると、訪日外国人の80%以上がキャッシュレス決済の利用を希望しています。とりわけ中国、韓国、東南アジアからの旅行者にとって、スマートフォン一つで支払いが完了することは日常です。彼らにとって「現金のみ」の表示は、不便を通り越して「入るのをやめよう」という判断材料になります。
また、日本国内のQRコード決済利用率は2025年時点で約65%に達しており、PayPayをはじめとするサービスが急速に浸透しています。つまり、外国人だけでなく日本人の消費行動も変化しているのです。
「選ばれない理由」を潰すという発想
東京・浅草のある小さな天ぷら店は、長年現金のみで営業していました。味には自信があり、日本人客の評価も高い。しかし、Googleマップの口コミに「Cash only, very inconvenient」というコメントが複数投稿されていることに気づきました。
そこでクレジットカードとQRコード決済を同時に導入したところ、外国人客の来店が目に見えて増加。導入から3ヶ月で外国人客の比率が15%から35%に上昇し、客単価も約20%アップしました。理由はシンプルで、キャッシュレス決済に対応したことでGoogleマップの評価が改善され、「この店は大丈夫だ」と外国人旅行者に認識されるようになったからです。
集客施策というと「何を発信するか」に目が行きがちですが、「選ばれない理由を消す」ことのほうが即効性があります。キャッシュレス非対応は、今や最も簡単に潰せる「選ばれない理由」の筆頭です。
導入コストは想像より低い
「手数料が高い」というイメージも、実態とはずれてきています。QRコード決済の加盟店手数料は1.5%から3%程度。月額固定費がゼロの決済サービスも増えています。初期費用ゼロ、端末無料貸与のキャンペーンを行っている事業者もあり、導入のハードルは年々下がっています。
Visa、Mastercard、銀聯、そしてPayPayやAlipay、WeChat Payといった主要なQRコード決済に対応するマルチ決済端末を1台導入すれば、ほぼすべての訪日客の決済手段をカバーできます。
今日から動ける最初の一歩
まずはGoogleマップで自分の店の口コミを確認してみてください。「cash only」「no credit card」といった記述がないか。もしあれば、それは外国人旅行者にとっての明確な来店障壁です。
完璧な決済環境を一度に整える必要はありません。まずはQRコード決済を一つ導入するだけでも、状況は変わります。「うちには関係ない」と決めつけず、小さな一歩を踏み出してみてください。
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