2026.06.11

中国市場の変化とASEAN市場の台頭:2026年の市場別戦略

「インバウンドといえば中国。中国からの訪日客が戻ればすべて解決する」

この前提を、そろそろアップデートする時期に来ています。確かに中国市場は依然として巨大です。しかし、中国一本足打法のリスクが顕在化した今、次の柱となる市場を見極めておかなければ、2026年の戦略は不完全なままです。

でも実は、中国市場の変化を冷静に分析し、成長著しいASEAN市場に早期にシフトした地域は、すでに安定的なインバウンド収益を確保し始めています。

中国市場に何が起きているのか

2024年から2025年にかけて、中国からの訪日客数は回復基調にあるものの、コロナ前の水準には完全に戻っていません。中国国内の景気減速、不動産市場の低迷、若年層の消費マインドの変化が影響しています。さらに、中国政府の海外旅行に関する政策の不透明さもあり、中国市場への依存度が高い地域は不安定な集客状況が続いています。

一人あたりの消費額で見ても、以前のような「爆買い」は減少傾向にあり、消費の質が変化しています。団体旅行から個人旅行へのシフトも進んでおり、従来の団体ツアー向けの受け入れ体制では対応しきれないケースが増えています。

ASEAN市場が急成長している理由

一方で、タイ、ベトナム、フィリピンからの訪日客数は2024年に過去最高を更新しました。タイからの訪日客は2019年比で約130%の水準に達し、ベトナムは約150%、フィリピンは約140%と、いずれもコロナ前を大きく上回っています。

この成長の背景には、ASEAN諸国の中間層の拡大、LCC路線の増便、そしてSNSを通じた日本文化への親和性の高まりがあります。特にタイでは、日本のアニメや食文化が日常的に消費されており、「いつか日本に行きたい」が「今年、日本に行こう」に変わる層が急増しています。

タイ市場で成果を出した地方自治体の事例

九州のある自治体は、2024年からタイ市場に本格的にシフトしました。バンコクのタイ人旅行系インフルエンサー3名を招聘し、温泉と地元グルメを組み合わせた2泊3日の体験ツアーを実施。その様子をインフルエンサーがリアルタイムでInstagramとTikTokに発信したところ、関連投稿の総リーチが500万を超えました。

その後、タイの旅行代理店からの問い合わせが急増し、タイ人向けの温泉体験パッケージを商品化。半年後にはタイからの宿泊者数が前年比で2倍以上になりました。中国市場の回復を待つのではなく、成長市場に能動的にアプローチした成果です。

市場別に戦略を変える必要がある

ASEAN市場を攻める際に注意すべきは、「ASEAN」を一括りにしないことです。タイ人はグルメと温泉、ベトナム人はショッピングと桜・紅葉の自然風景、フィリピン人はテーマパークと都市観光。国ごとに旅行の動機と消費パターンは異なります。

使うSNSプラットフォームも違います。タイではInstagramとTikTokが主流ですが、ベトナムではFacebookの影響力がまだ強い。市場ごとに最適なチャネルとメッセージを設計する必要があるのです。

中国市場を捨てる必要はありません。しかし、一つの市場に依存するリスクを分散し、成長市場を並行して開拓する。完璧な市場分析を待つ前に、まずはASEAN一カ国にターゲットを絞って小さく始めてみてください。

YS Media Agencyは、複数の海外市場に対応したインフルエンサーキャンペーンの企画・運用を手がけています。

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