「スポーツイベントのときだけ人が来ても、一過性で終わってしまうのでは?」
WBCやアジア大会など、大型スポーツイベントの開催が決まるたびに、自治体の担当者はこんな不安を抱えます。確かにイベント期間中は宿泊も飲食も潤う。でも終わった瞬間にまた元通り。設備投資の回収もできないまま、次のイベントを待つだけになるのでは。
でも実は、スポーツイベントを「点」ではなく「線」の集客装置として設計すれば、地域に継続的な経済効果を生み出すことが可能です。大切なのは、イベントそのものではなく、イベントを起点にした「ついで観光」の仕組みづくりです。
大型スポーツイベントがもたらす宿泊・飲食需要
国際的なスポーツイベントの開催時には、会場周辺だけでなく広域にわたって宿泊需要が急増します。2023年のWBC東京ラウンドでは、東京都内のホテル稼働率が通常期を大きく上回り、周辺の千葉や埼玉にまで宿泊需要が波及しました。
飲食や交通の需要も同様です。試合前後の数時間、観戦客は会場周辺で食事をし、土産物を購入し、交通機関を利用します。この「イベント前後の消費行動」を地域に取り込めるかどうかが、経済効果を左右するポイントです。
SNSのリアルタイム発信が「ついで観光」を生む
スポーツイベント期間中、SNSには大量の投稿があふれます。試合のハイライト、スタジアムの雰囲気、応援の様子。この熱量に乗じて、地域の観光情報を発信することが非常に効果的です。
ある地方都市では、国際サッカーの試合開催に合わせて、会場周辺の飲食店マップや観光スポット情報を多言語でSNS発信しました。「試合後に立ち寄れる温泉」「スタジアムから30分の絶景スポット」といった、イベント×観光の組み合わせコンテンツが外国人の間でシェアされ、試合翌日の観光施設の入場者数が通常の2倍以上になったそうです。
ポイントは、リアルタイム性です。イベント開催中にタイムリーに情報を届けることで、「せっかくここまで来たんだから、ちょっと寄ってみよう」という行動を促せます。事前に準備した投稿を、イベントのタイミングに合わせてスケジュール配信する仕組みを整えておきましょう。
「ついで観光」を誘導する3つの施策
第一に、会場周辺の多言語マップを作成すること。飲食店、コンビニ、観光スポット、交通案内を1枚にまとめたデジタルマップをQRコードで配布するだけで、観戦客の行動範囲が広がります。
第二に、イベント限定の特典を用意すること。試合チケットの提示で割引が受けられる飲食店や土産物店のクーポンは、来場者を地域の店舗に誘導する強力な動機になります。
第三に、イベント後のリターン施策を設計すること。来場者にSNSフォローやメールマガジン登録を促し、イベント後も地域の魅力を継続的に発信する。「次はイベントがなくても来たい」と思わせるリレーション構築が、一過性で終わらせないための鍵です。
次の大型イベントまでに準備を始める
スポーツイベントの日程は事前にわかっています。つまり、準備する時間は十分にあるはずです。まずは今後1年間に開催予定の国際スポーツイベントをリストアップし、自地域にどんな影響がありそうか考えてみてください。
大掛かりな施策でなくても構いません。会場最寄り駅から自地域への交通案内を多言語で作る。地元の飲食店に声をかけてイベント期間中の特典を用意する。SNSアカウントでイベント関連のハッシュタグを使って地域情報を発信する。完璧な観光プランでなくても、まずはできることから始めてみてください。
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