2026.05.28

飲食店に学ぶ:インバウンドと地元客のバランス経営

「外国人のお客さんが増えたのは嬉しいけど、最近常連さんの足が遠のいている気がする」

インバウンド対応に成功した飲食店のオーナーが、次にぶつかる壁がこれです。英語メニューを作り、口コミ対策をし、SNSで海外に発信した結果、外国人客は順調に増えた。でも気づけば、店の雰囲気が変わったと感じた地元の常連客が、少しずつ来なくなっている。

でも実は、インバウンド客と地元客のバランスは、意識的に設計することでコントロールできます。両方の客層に愛される店づくりは、決して不可能ではありません。

外国人比率50%超えが「地元客離れ」の分岐点

飲食業界では、外国人客の比率が50%を超えると地元客が離れ始めるリスクがあるとされています。理由はいくつかあります。店内の会話がほぼ外国語になり、雰囲気が変わる。待ち時間が長くなる。メニューが外国人向けに偏る。常連客にとって「自分の居場所」ではなくなったと感じてしまうのです。

これは、外国人客が悪いという話ではありません。バランスの問題です。地元客は安定的な売上基盤であり、口コミの発信源でもあります。地元客を失うことは、長期的な経営の土台を失うことにつながります。

予約システムで「枠」を分ける工夫

バランスを保つ最も実践的な方法の一つが、予約システムの設計です。たとえば、外国人向けの予約プラットフォーム(OpenTable、Tablelogの英語版など)には席数の一部だけを開放し、残りは電話予約やLINE予約など、地元客が使い慣れたチャネルに確保しておく。

ある京都の和食店では、全30席のうち、海外予約サイト向けに開放する席を10席に制限しています。残りの20席は常連客用の電話予約と当日のウォークインに充てることで、「いつ行っても入れる」という地元客の安心感を維持しています。結果として、外国人客の売上を取り込みながらも、地元客の来店頻度は落ちていないそうです。

メニュー戦略の「二層化」で両立する

外国人客と地元客では、求めるメニューが異なることが多いです。外国人客はビジュアルが華やかでSNS映えするメニューや、「日本らしい」体験ができるメニューを好みます。一方、地元客は慣れ親しんだ味や、季節の一品料理を求めています。

これを一つのメニューブックに詰め込もうとすると、どっちつかずになりがちです。効果的なのは、メニューを「二層化」すること。ベースメニューは共通で、外国人向けには写真付きの英語メニューで「おすすめセット」や「体験メニュー」を別途用意する。地元客向けには、日替わりの黒板メニューや裏メニューで「常連だけの楽しみ」を提供する。

この二層化によって、外国人客は迷わず注文でき、地元客は「自分たちだけの特別感」を感じられます。実際にこの方式を導入した大阪の居酒屋では、外国人客の客単価は5,000円前後、地元客の客単価は3,500円前後と、両方の客層からバランスよく売上を確保できています。

コミュニケーション設計も分ける

SNSの発信も、ターゲットを意識して使い分けることが大切です。Instagramの英語投稿で外国人客を集めつつ、LINE公式アカウントでは地元客に向けた限定情報を発信する。「今日の仕入れ」「常連さん限定の裏メニュー」といった情報は、地元客のロイヤリティを高める有効な手段です。

まずは今の比率を把握するところから

バランス経営の第一歩は、現状を数字で把握することです。過去1か月の売上データから、外国人客と地元客の比率をざっくりでも出してみてください。50%を大きく超えているなら、予約枠の調整を検討する。30%以下なら、まだインバウンド対策を強化する余地がある。

インバウンドも地元も、どちらかを捨てる必要はありません。完璧なバランスを最初から目指すのではなく、まずは自店の現状比率を知ることから始めてみてください。

YS Media Agencyは、複数の海外市場に対応したインフルエンサーキャンペーンの企画・運用を手がけています。

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