「夏祭りに外国人観光客が来てくれたらいいのに」と考える自治体担当者は少なくありません。実際、地方の夏祭りは日本文化の魅力が凝縮されたコンテンツですが、多くの場合、情報発信が日本語中心で、体験設計も日本人向けのまま。結果として、せっかくのポテンシャルが訪日客に届いていないのが現状です。
でも実は、夏祭りほどインバウンド集客に適したコンテンツはありません。観光庁の2025年調査によると、訪日外国人の68%が「地域の祭り・伝統行事への参加」に関心があると回答しています。さらに、JNTOのデータでは、祭り体験をした訪日客の滞在中消費額は平均より約1.4倍高いという結果も出ています。
成功事例として注目したいのが、青森県のねぶた祭における取り組みです。2024年から英語・中国語・韓国語での事前予約制「ハネト体験プログラム」を導入し、外国人参加者が前年比で約2.3倍に増加しました。ポイントは3つあります。第一に、SNSでの事前告知を海外インフルエンサーに依頼し、祭りの「参加できる」側面を強調したこと。第二に、多言語の体験ガイドを用意し、衣装の着付けから掛け声まで丁寧にサポートしたこと。第三に、体験後のフォトスポットを設置し、参加者が自発的にSNS投稿する仕組みを作ったことです。
自治体が夏祭り×インバウンドを設計する際に押さえるべきフレームワークを整理します。まず「発見フェーズ」では、祭りの3カ月前から海外向けSNS発信を開始します。特にInstagramのReelsやTikTokでは、祭りの臨場感を伝える短尺動画が効果的です。次に「予約フェーズ」では、多言語対応の予約ページを用意し、体験内容・集合場所・持ち物を明確に記載します。そして「体験フェーズ」では、言語の壁を超える工夫が重要です。写真付きの手順カードや、QRコードで読み取れる動画マニュアルなど、視覚的なサポートツールを準備しましょう。
もう一つ重要なのが「余韻フェーズ」の設計です。体験直後にハッシュタグ入りのフォトフレームを提供したり、参加証明書を発行したりすることで、SNSでの二次拡散を促進できます。秋田県横手市のかまくら祭りでは、この手法により、海外からのUGC(ユーザー生成コンテンツ)が前年比180%に増加した実績があります。
予算が限られている自治体でも、まずは既存の祭りプログラムに多言語の案内シートを追加するところから始められます。完璧な多言語対応を目指す必要はありません。大切なのは「外国人も歓迎している」というメッセージを明確に発信すること。体験型観光の設計は、小さな一歩の積み重ねで形になっていきます。
筆者: YS Media Agency|海外インフルエンサー直接リレーションを活かし、戦略設計からクリエイティブ制作・配信分析までワンストップで支援しています。


