「サステナブル観光は大切だけど、お金にならない」。多くの自治体担当者がそう感じているのではないでしょうか。環境保護や地域文化の保全は重要な使命ですが、予算が限られるなかで収益化の見通しが立たなければ、継続的な取り組みは困難です。
でも実は、サステナブル観光こそが今、最も高い収益性を持つ観光セグメントの一つになっているのです。
サステナブル観光の収益ポテンシャル
Booking.comの「サステナブルトラベルレポート2025」によると、世界の旅行者の76%が「今後1年以内にサステナブルな旅行をしたい」と回答しています。さらに、世界観光機関(UNWTO)の分析では、エコツーリズム参加者の平均支出額は一般観光客と比較して約35%高いというデータがあります。環境意識の高い旅行者は、その価値に対して積極的に支出する傾向があるのです。
自治体が設計するエコツーリズムの3要素
収益化を実現するエコツーリズムには、3つの要素が欠かせません。
第一に、地域固有の自然資源の体験化です。地元の森林、河川、里山など、その地域でしか味わえない自然体験をプログラム化します。ガイド付きツアーにすることで付加価値と安全性を高め、適正な料金設定が可能になります。
第二に、地域経済への循環構造の構築です。ツアー料金の一部を環境保全基金に充てる仕組みや、地元農産物を使った食事の提供など、旅行者の支出が地域に還元される仕組みを明示します。この透明性が旅行者の満足度と支払意欲を高めます。
第三に、ストーリーの発信です。なぜこの取り組みが必要なのか、旅行者の参加がどんな変化を生むのかを伝えることで、単なる観光体験が「意味のある旅」に変わります。
屋久島の収益化モデル
鹿児島県屋久島では、2024年に入島協力金制度を本格導入し、同時にエコツアーガイドの認定制度を強化しました。認定ガイドによるツアーは1人あたり15,000円から25,000円の価格帯ですが、予約は年間を通じて高い稼働率を維持しています。収益の一部は登山道の整備や希少種の保全に充てられ、その使途をウェブサイトで公開することで、旅行者からの信頼と次回訪問への動機づけを両立させています。
収益化は仕組みづくりから
エコツーリズムの収益化は、大規模な投資がなくても始められます。まず、地域の自然資源を棚卸しし、一つの体験プログラムを設計するところからスタートしてみてください。完璧より、まず始めることです。
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