「料理教室や酒蔵見学を始めてみたものの、価格設定が難しい」。文化体験コンテンツを提供する事業者の多くが、この壁にぶつかっています。安くしすぎると利益が出ない。高くしすぎると予約が入らない。結局、なんとなく周辺の相場に合わせた価格で運営し、忙しいのに儲からないという状態に陥ってしまう。
でも実は、訪日外国人が文化体験に支払う金額は、多くの日本人事業者が想像するよりもはるかに高いのです。
訪日客の体験消費の実態
観光庁「訪日外国人消費動向調査」(2025年)によると、訪日外国人の体験型アクティビティへの平均支出額は1人あたり約18,000円で、前年比15%増加しています。さらに、Klookの調査では、料理教室の予約単価は欧米豪の旅行者で平均12,000〜15,000円、酒蔵見学(テイスティング付き)は8,000〜12,000円が主流です。
つまり、日本人向けの感覚で「3,000円くらいが妥当かな」と設定していると、大きな機会損失が発生しているわけです。
価格設計の3つの原則
1. 価値ベースで価格を決める
コストから逆算するのではなく、参加者が得る「体験価値」を基準にします。料理教室であれば、レシピを学ぶだけでなく「日本の家庭の食文化に触れる」「市場での買い物体験が含まれる」といった付加価値が価格を引き上げます。
2. 松竹梅の3段階を用意する
基本プラン、標準プラン、プレミアムプランの3つを設定します。多くの消費者心理研究が示すように、3段階あると真ん中が最も選ばれます。プレミアムプランには「少人数制」「お土産付き」「特別な場所でのプライベート体験」などの要素を加えましょう。
3. 季節変動価格を導入する
繁忙期と閑散期で価格を変えることは、海外では一般的な手法です。桜シーズンや紅葉シーズンは15〜30%のプレミアムを設定し、閑散期は早期予約割引で集客するのが効果的です。
成功事例:京都の料理教室「Hana Cooking Class」
ある料理教室では、当初1人5,000円で英語対応の和食教室を提供していましたが、予約は多いのに利益が出ない状態が続いていました。そこで、価格体系を3段階に再設計。基本コース8,000円、錦市場ツアー付きコース13,000円、プライベートコース(4名まで)25,000円としました。結果、客単価は2.4倍に上昇。さらに、プレミアムコースの予約率が全体の35%を占め、利益率が大幅に改善しました。口コミ評価もむしろ向上し、「価格に見合う特別な体験だった」というレビューが増加したのです。
価格を上げるための具体策
まず、現在の体験内容を「写真映えする瞬間」「持ち帰れるもの」「ストーリー性」の3軸で見直してください。これらの要素が充実していれば、価格を上げても顧客満足度は維持できます。最初の一歩として、現在の価格を20%上げたプランを一つ追加してみましょう。完璧な価格戦略を練るより、まず始める。市場の反応を見ながら調整していけば、必ず最適解にたどり着きます。
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