紅葉シーズンの混雑対応に、毎年頭を悩ませていないでしょうか。有名スポットに観光客が集中し、地域住民からは苦情が出る。一方で、車で20分の絶景スポットには誰も来ない。でも実は、この「偏り」はSNSの発信設計で相当程度コントロールできます。この記事では、穴場スポットへの誘導を成功させる多言語SNS設計の考え方を紹介します。
混雑は「情報の偏り」から生まれている
2026年7月の訪日外客数は344万2,100人と7月として過去最高を更新し、秋の紅葉シーズンにはさらに多くの外国人観光客が見込まれます。京都では紅葉シーズンの嵐山・渡月橋周辺で警察が人の流れを整理する事態が毎年のように起きており、路線バスの遅延など市民生活への影響も深刻です。
ただ、冷静に考えると、観光客が特定スポットに集中するのは「そこしか知らないから」です。海外の旅行者が接する日本の紅葉情報は、SNSや旅行メディアで繰り返し露出する有名スポットに偏っています。裏を返せば、穴場スポットの情報が旅行者の目に届く形で存在していないことが、混雑の根本原因のひとつなのです。
「穴場」をただ紹介しても人は動かない
多くの自治体が「隠れた名所マップ」を作っていますが、成果につながらないケースが目立ちます。理由は3つあります。
第一に、日本語でしか発信していないこと。第二に、有名スポットとの比較情報がないこと。旅行者は「清水寺の代わりにここへ行く」という意思決定をするため、単独の紹介では判断材料になりません。第三に、行き方の情報が弱いこと。バスの本数が少ない穴場は、アクセス手段まで示さないと行動に移されません。
京都市が2021年から実施している主要観光地のライブカメラ配信は、混雑の「見える化」で行動変容を促す好例です。混雑状況をリアルタイムで見せた上で、「今すいている場所」を提示する。この2点セットが分散誘導の基本形です。
分散誘導のSNS設計3ステップ
ステップ1: 有名スポットの投稿に相乗りする
まず有名スポットの紅葉情報を発信し、その投稿内で「徒歩15分でほぼ同じ景色が静かに楽しめる場所」として穴場を添えます。有名スポットの検索流入を穴場への入口に変える発想です。
ステップ2: 混雑ピークの「時間帯」情報を必ず入れる
「午前10時〜午後3時は混雑、早朝は静か」といった時間帯情報は、場所の分散だけでなく時間の分散も生みます。ライトアップの有無や夕方以降の様子も発信材料になります。
ステップ3: 市場別に言語と媒体を分ける
韓国・台湾・香港・欧米では、使われるSNSも刺さる表現も異なります。繁体字圏には写真映えと行列回避情報、欧米圏には「地元の人が行く場所」という文脈が響きやすい、といった違いを踏まえて発信を設計します。
続けられる体制づくりが一番の課題
ここまで読んで、「理屈は分かるが、多言語で週に何本も投稿する人手がない」と感じた方が大半だと思います。とはいえ現実問題、紅葉の色づきは毎週変わるため、発信は継続してこそ意味があります。
実はこの課題を解決するために、私たちは多言語SNS投稿の自動化ツール「InboundPost」を開発しています。日本語で投稿内容を用意すれば、英語・繁体字などへ翻訳した投稿を各SNSに自動配信する仕組みで、担当者1人でも複数言語の継続発信を回せるように設計しています。月数万円の予算感で運用できることを目指しており、自治体の方の声を伺いながら改良を重ねているところです(ご関心があればお気軽にお問い合わせください)。
完璧な分散誘導計画を作るより、まず今週、穴場スポットを1か所選んで有名スポットとセットで発信してみてください。旅行者の流れは、情報の置き方ひとつで変わり始めます。
YS Media Agencyは、Gantaleプラットフォームを運営し、海外クリエイターと日本のブランドをつないでいます。


