2026.10.12

2027年の観光予算要求はもう始まっている|自治体の予算獲得戦略

「インバウンドに力を入れたいが、来年度の予算がつくか分からない」。この時期、多くの自治体の観光担当者が同じ悩みを抱えています。でも実は、2027年度予算の獲得競争はすでに始まっています。財政課との折衝が本格化する前の今こそ、要求の中身を固める時期です。この記事では、観光・インバウンド予算を獲得するための考え方と、要求書に盛り込むべき要素を整理します。

国の観光予算は急拡大している

追い風はあります。観光庁の2026年度当初予算は1,383億円と前年度比2.4倍に拡大しました。国際観光旅客税(出国税)の税収増を財源に、オーバーツーリズム対策や地方誘客、観光DXへの配分が厚くなっています。概算要求段階では約814億円だったものが、最終的に大幅増で決着した経緯は、国として観光を成長戦略の柱に据えている証左です。

市場環境も予算要求を後押しします。2026年7月の訪日外客数は344万人超と7月として過去最高を更新し、年間では4,000万人規模が視野に入っています。「観光は国の重点分野であり、市場は拡大している」。この2点だけでも、庁内説得の土台になります。

予算がつかない要求書の共通点

一方で、財政課に通らない観光予算要求には共通点があります。

第一に、成果指標が「観光客数」しかないこと。観光客数は天候や為替など外部要因に左右されるため、施策との因果を説明できず、査定で切られやすい指標です。宿泊者数、観光消費額、SNSでのリーチ数や指名検索数など、施策と紐づく中間指標を組み合わせる必要があります。

第二に、単年度の打ち上げ花火型であること。1回きりのイベントやプロモーション動画制作は「その後どうなったのか」を問われます。継続的な発信体制や受入環境整備など、資産として残る使い道が評価されやすくなっています。

第三に、国の補助メニューとの接続がないこと。国費を取りに行く設計になっていれば、市町村の持ち出しが減るため財政課の心証はまったく変わります。観光庁の地方誘客関連事業は毎年公募が行われるため、要求段階で「国庫補助を前提とした事業設計」を示しておきましょう。

要求書に入れるべき3点セット

1. データで示す現状と機会
自地域の外国人宿泊者数の推移、近隣競合地域との比較、主要市場(韓国・台湾・中国など)の動向。数字は多くなくてよいので、「伸びている市場に対してうちは取りこぼしている」という構図を1枚で示します。

2. ランニングコストを明示した継続施策
多言語SNS運用、口コミ対応、コンテンツ制作などの継続費用を正直に計上します。ここで効いてくるのが省力化の設計です。たとえば私たちが開発中の多言語SNS自動化ツール「InboundPost」は、日本語の投稿を用意すれば多言語の投稿を自動配信する仕組みで、専任者を置けない自治体でも月数万円規模で継続発信の体制が組めることを目指しています。「人を増やさずに発信量を増やす」設計は、行革圧力の強い庁内でも通しやすい論点です。

3. 撤退条件つきのKPI設計
「2年で中間指標が達成できなければ縮小する」という撤退条件をあえて書くと、査定側のリスク懸念が下がり、かえって予算がつきやすくなります。

今週、昨年度の要求書を開くことから

予算要求は書類仕事の勝負です。とはいえ現実問題、日々の業務に追われて着手は遅れがち(気づけば締切前夜、はよくある話です)。まずは昨年度の要求書を開き、成果指標が観光客数だけになっていないかを確認するところから始めてみてください。指標の設計を変えるだけでも、要求書の説得力は大きく変わります。

YS Media Agencyは、インハウスのクリエイティブ制作からSNS運用、効果測定まで一気通貫でインバウンド施策を支援しています。

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